【相続】遺言で相続分がないとされた場合、遺産を全く相続できないのでしょうか(遺留分減殺請求)

配偶者、子、直系尊属には最低限の取り分である遺留分が存在します

遺言により相続分がないとされた場合、著しく低い割合とされた場合、他の共同相続人に対する生前贈与によって相続すべき遺産がなかった場合などには、遺留分減殺請求をすることで最低限の取り分(遺留分)を確保することができる場合があります。

遺留分は、相続人の生活保障及び遺産形成への潜在的貢献に対する精算のために民法1028条で定められています。

直系尊属のみが相続人の場合は相続分の3分の1、それ以外のケースでは2分の1が遺留分となります。例えば、配偶者と子2人が相続人であった場合には、子1人あたりの相続分が4分の1ですので、その2分の1の8分の1が遺留分割合となります。なお、兄弟姉妹は、配偶者、子、直系親族がいない場合には相続人となりますが、遺留分はありません。

遺留分の算定方法は少々複雑です

遺留分の算定の基礎となる財産額は、「被相続人が相続開始時に有していた財産の価格+贈与財産の価格-相続債務の価格」という計算により算出します。この財産額に遺留分割合を掛け合わせることで、遺留分が計算されます。

このうち「贈与財産の価格」とは、「相続開始時の1年前にされた贈与」(民法1030条前段)、「遺留分権利者に損害を加えることを知った贈与」(民法1030条後段)、特別受益としての贈与(特別受益持ち戻し制度との均衡)があげられます。

なお、被相続人から特別受益に関して、将来の相続において相続財産に持ち戻さなくてよい(持ち戻しの免除の意思表示)とされることがあり、遺産分割をする上で具体的相続分の計算においては、持ち戻し免除の意思表示は有効とされています。しかし、遺留分の計算においては、持ち戻し免除の意思表示の有無にかかわらず、「贈与財産の価格」として算定されることになります。

遺留分減殺請求の行使方法と時効

遺留分減殺請求権は、裁判上裁判外に関わらず、意思表示によって行使することになりますが、時効の関係上、意思表示が明確となるように、内容証明郵便などの客観的に証明が可能な方法で行使することが通常です。

遺留分減殺請求は、遺産の受遺者又は受贈者に対してすることになります。包括遺贈が未履行の場合には、遺言執行者に対しても遺留分減殺請求ができるという昭和初期の判例がありますが、その射程範囲には見解の争いがありますので、受遺者又は受贈者に対してするのが無難です。

遺留分減殺請求は、「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする」とされ、時効・除斥期間が設定されており、時効期間が短いですので、注意が必要です。

遺留分減殺請求の効果

遺留分減殺請求を行使したことによって、減殺されるべき財産が複数ある場合には、遺贈の対象となった遺産、特定の遺産を「相続させる」旨の遺言のある遺産から優先的に減殺することとされています(遺贈に関しては民法1033条、特定の遺産の遺言による相続については裁判所の立場)。

遺留分減殺請求権が行使されると、減殺されるべき財産が遺留分を侵害する限度で遺留分を請求した者に帰属することとなります。そうすると、遺留分減殺された財産が共有状態となることもありますが、この共有状態を最終的に解消して解決する必要が生じます。

受遺者が相続させる旨の遺言により遺留分減殺請求の対象となった財産を取得した場合には、遺留分減殺請求訴訟において権利関係を確認した上で、最終的には共有物分割訴訟により共有関係の解消をすることができます。もちろん、遺留分減殺請求訴訟より前に遺産分割で遺留分を含めて話し合いが付けば、終局的に解決することが可能なのは、言うまでもありません。これに対して、遺言で相続分の指定(例えば相続人に遺産の80%の相続をさせる等割合で指定された場合)がされた場合には、減殺の対象となった財産が遺産の割合にすぎないので、家庭裁判所の遺産分割手続きを経ることになります。

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