【相続】最近、親の認知症が進んでいます。今後どのように対応したらよいですか(成年後見、成年保佐)。

残念ながら認知症の方が金銭トラブルに遭うという事例が多数存在しています。

育てていただいた両親が認知症になり、判断能力がなくなっていくことは家族としても、受け入れがたく、大変つらい体験です。

一方で、国民生活センターに寄せられた相談事例(2015年現在約18万3000件)のうち、約20%が契約当事者が70歳以上の相談件数であり、家庭訪問や電話勧誘による被害がそのうち30パーセントを占めています。つまり、仮に高齢者がそのほとんどの時間を自宅で過ごしたとしても、被害を受けないとは言い切れないのが、現実であり、認知症が進行している高齢者に関しては、より一層被害に遭う可能性が高まります。

認知症の進んだ高齢者をかかえる家族は、高齢者の尊厳を尊重しつつも、適切な手続きを踏むことで高齢者の財産を守ることを考えなければなりません。

成年後見制度、成年保佐制度を利用することによって、高齢者の財産を状況に応じて守ることができます。

民法では、成年後見制度、成年保佐制度が存在しています。成年後見制度は、判断能力を欠く常況にある場合、成年保佐制度は、判断能力が著しく不十分な状態の場合に開始することができるとされています。

この成年後見制度、成年保佐制度を利用することによって、高齢者の財産を状況に応じて守ることができます。

成年後見が開始された場合には、日常の生活に関する行為を除き、成年被後見人の行為は、成年後見人が取り消すことができるとされています。また、成年後見人が就任した際に、銀行に対して成年後見人が就任したことを届け出るために、成年被後見人が自らの判断で大金の送金をすることを防ぐことができます。

また、成年保佐が開始された場合には、成年被保佐人は、「預金の払い戻し(元本を領収、利用)」「借財」「保証」「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」「贈与」「相続放棄」「遺産分割」「艇物の新築・改築・大規模修繕」等の行為をする場合には、成年保佐人の同意が必要となり(民法13条第1項)、同意がない場合には取り消しが可能となります。そのため、成年後見同様に就任の際に銀行に届け出ることによって、保佐人の同意なしに預金の引き出しをすることを防ぐことができます。

成年被後見人・成年被保佐人の「取消し」の効力は、「善意の第三者」にも及ぶとされているため、仮に不動産が転売されていたとしても、善意の第三者(成年被後見人・成年被保佐人であることを知らなかった第三者)に対しても、取り消しの効力を及ぼすことができます。

認知症の進んだ高齢者がそれぞれの進行度合いに応じて、成年後見制度、成年保佐制度を利用することで不必要なトラブルを未然に防ぐことが必要です。

成年補助制度について

民法には、判断能力が不十分である方を対象として成年補助制度という制度もあります。

ただし、現実にはあまり利用されていない制度で利用される割合は、成年後見制度・成年保佐制度・成年保佐制度全体をみた場合、5%にも達しません。

成年補助制度は、「預金の払い戻し(元本を領収、利用)」「借財」「保証」「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」「贈与」「相続放棄」「遺産分割」「艇物の新築・改築・大規模修繕」等のうち、一部の行為のみ補助人の同意を必要とする制度ですが、これらの行為の一部に関して不安がある状態の場合には、他の行為に関しても不安がある状態であることが一般的であるのが、その主な理由です。

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