高齢者の死亡事故で全年齢平均賃金を前提とする逸失利益を獲得した事例

自宅で障がいを持つ夫の介護をしていた被害者

AさんとBさんご兄弟は、お母様が交通事故で亡くなり、保険会社から必要書類を求められた時点で弁護士に相談いただきました。

亡くなられたお母様は、生前、身体障がい者であったお父様を介護されていましたが、介護サービスなどは頼まず、すべてお母様が自宅でお父様を介護されていました。

弁護士がお母様の介護の内容を聞き取った結果、逸失利益において通常の家事労働とは異なる評価を受けるべきであると考え、通常よりも高額な基礎収入を基に逸失利益を請求することにしました。

お母様が行っていた介護の証拠収集

お父様がもともと介護サービスを一切利用しておらず、介護認定にも積極的でなかったため、まずお母様が行っていた介護状況の客観的証拠を収集することとしました。

弁護士は、都道府県から、お父様の身体障がい者認定記録と介護認定記録の個人情報の開示を取得しました。

記録には、お父様の障害の程度やお母様が行っていた介護の内容が詳細に記載されていましたので、これを証拠として損害賠償の請求をすることとしました。

訴訟提起後、和解により全年齢平均賃金を前提とする逸失利益を獲得

死亡事故などの重大事案において、保険会社に対して、任意交渉で損害賠償を求めたとしても、適切な賠償を受けることは困難です。

そのため、弁護士は訴訟提起をすることを選択し、証拠収集をした後、ただちに訴訟提起をしました。

結果、お母様が生前行っていた介護の内容が明らかとなったことにより、裁判所において賃金センサスの学歴計全年齢平均を基礎収入とする逸失利益を含めた相当額の損害賠償を受けることで、和解が成立しました。

所感

高齢者の家事労働に対する基礎収入は、年齢に応じて身体能力が低下することから制限されて認められるのが一般的です。

例えば、80代の女性の専業主婦の場合、賃金センサスの学歴計「70歳~」の平均賃金である約300万円の8割程度の収入と認定されることも少なくありません。

本件では、裁判官に他の高齢者の主婦と異なり、職業介護レベルの介護を行っていたことを丁寧に証拠を基づいて主張することを第一に考えて訴訟追行しました。

その結果、賃金センサス学歴計全年齢平均である約370万円を基礎収入として算定した逸失利益で和解することとなり、一般の高齢者の専業主婦の方に比べて、大幅に高額な損害賠償を受けることができました。