スキー事故で訴訟提起をし当初提示額を3倍以上に増額した事例

相談~医師への意見照会~訴訟提起

Eさんは、スキー事故で受傷し、保険会社から約150万円の保険金が支払われるという内容の提案書を持って弁護士のもとへ相談にいらっしゃいました。

Eさんの受傷個所は膝関節であり、2回の手術を経て、可動域は一定程度回復していましたが、曲げたり伸ばしたりすることに痛みを抱えていました。

保険会社の提示には後遺障害に対する補償は含まれておりませんでしたが、弁護士は、自賠責保険でいう14級9号相当の後遺障害が残存している可能性が高いと考え、医師に対して後遺症に関する意見書の作成を依頼しました。

医師に照会した結果、14級9号相当の後遺障害であるとの意見が得られたため、その意見書を前提として、損害倍書請求訴訟を提起しました。

訴訟上、Eさんがスポーツの全国大会で好成績を収めた経歴を持つ選手であり、受傷個所は膝関節であり、スポーツに影響が出ることが明らかであったため、後遺障害の慰謝料に関して赤本・青本基準よりも高額な慰謝料を求めました。

訴訟提起~和解成立

被告側においても、カルテ取り寄せ等の医療照会などを行った結果、14級9号の後遺障害に該当することは争わないことになりました。

そのため、裁判所の和解案では14級9号相当の後遺障害があることを前提とする和解金約550万円の和解案が提示されました。

後遺障害慰謝料に関しても、弁護士が今までのスポーツの受賞歴等を証拠として提出した結果、赤本・青本基準よりも高額な金額の和解案が裁判所から提示されました。

過失割合に関しては、残念ながら、被告側が過失割合0での和解を拒絶する意思を明確にしていたため、若干考慮されたものの、被告代理人の主張よりも大幅にEさんに有利な判断がされました。

Eさんと相談した結果、裁判所から約550万円の和解案を受け入れることとなり、裁判所において和解が成立しました。

所感

自転車事故やスキー事故では、保険会社が自主的に後遺障害認定をすることはありますが、自賠責保険の被害者請求のように外部機関に直接認定を求める制度はありません。

そのため、自動車事故でしたら、保険会社または被害者が自賠責保険の後遺障害認定の申請をし、認定される可能性が高い事案であっても、後遺障害に関して一切検討のない保険会社の保険金計算書が散見されます。

さらに、スポーツ事故等では保険会社には示談代行サービスが付帯されておらず、相手方との直接交渉となるケースも多く、訴訟提起以外で適正な賠償を受けることが困難なケースも多いです。

今回のケースでも保険会社の保険金計算書は、自賠責保険の基準を形式的に当てはめたものでした(上限120万円は適用されていませんでした)。

Eさんには、スポーツの受賞歴などの立証の過程で、現在の膝の状況に向き合わなければならないという意味で、精神的負担をおかけしました。ただ、裁判所において、後遺障害であることが認められ、かつ赤本・青本基準よりも高額な慰謝料が認められることで、Eさんのこれまでの活動歴に対して評価がなされたことが弁護士としては非常にうれしく感慨深いものがありました。