【相続】預貯金の相続手続きについて教えてください。

相続の開始により、預貯金等の財産は相続分に応じて共有状態となります。

相続の開始(被相続人の死亡)により、預貯金等の被相続人の財産は、法定相続人間で共有状態となります(いわゆる「遺産共有」状態)。各相続人は、法定相続分に応じて、その持ち分を取得します。

法定相続分は、民法上定められており、例えば、配偶者と子ども2人の場合には、配偶者が1/2、子どもが各1/4となります。

そして、共有状態となった遺産は、相続人全員による遺産分割協議により、遺産の最終的な帰属(誰が最終的に取得するか)が決まることとなります。

なお、遺言がある場合には、この限りではなく、預貯金の取得者に関する遺言に応じて、取得者が決まります。以下は、遺言がない場合について説明します。

相続の開始により、預貯金等の財産は相続分に応じて共有状態となります。

相続の開始(被相続人の死亡)を銀行などの金融機関に連絡することで、金融機関が口座を凍結し、相続手続きなしに口座から資金を引き出すことができなくなります。

では、預貯金の相続手続きとはどのようなものでしょうか。

相続手続きとは、金融機関に対して、被相続人の遺産である預貯金を、①相続人全員で、②遺産分割協議をして、誰が取得するかを決めたことを示すことで払い戻しを受けることです。

まず、相続人全員が誰かを金融機関に示すため、①被相続人の相続関係が分かる資料(戸籍謄本又は法定相続証明書)を提出することが求められます。

また、預貯金に関する遺産分割の成立を示すため、相続人全員の署名押印のある②遺産分割協議書も必要です。

なお、たいていの金融機関では、所定の「相続届」等の用紙があり、相続人全員が署名押印することで、遺産分割協議書によらず、特定の相続人を代表者として払い戻しを受けるという手続きもあります。この場合でも、相続人全員の署名押印が必要となります。

なぜ、印鑑証明書が必要ですか。

預貯金の相続手続きでは、①被相続人の相続関係が分かる資料と②遺産分割協議書だけではなく、③印鑑証明書(海外在住者の場合には「署名証明」)が必要です。

なぜ、印鑑証明書が必要なのでしょうか。

その理由は、「遺産分割協議書の相続人全員がその意思により押印したことを示すため」ということになります。

遺産分割協議書には、相続人全員が実印(印鑑登録をしている印鑑)を押しますが、印鑑証明書を添付することで、金融機関にも遺産分割協議書に相続人全員の実印が押されていることを証明することができます。

実印は本人が厳重に管理するのが通常であるため、遺産分割協議書に相続人全員の実印が押されているということは、相続人全員がそれぞれ自らの意思で遺産分割協議書に押印したことを金融機関に示すことができるということになります。

預貯金が少額の場合、簡易な相続手続きが利用できる場合があります。

預貯金が少額の場合には、簡易な相続手続きが認められていることも多いです。

簡易な相続手続きとは、金融機関によって名称が違いますが、相続人全員の署名押印なくとも、金融機関が相続人代表者に払い戻しを認める制度です。

金融機関ごとに簡易な手続きを認める基準は異なり、例えば、ゆうちょ銀行だと100万円以下の場合に認められています。金融機関によっては50万円の場合もあるようです。

なお、当然ですが、相続人代表者が簡易手続により預貯金の全額の払い戻しを受けたとしても、相続人全員の合意なしに自らの相続分を超えて取得することはできません。あくまで払い戻しを受けることができるだけです。

すぐに相続人全員の署名押印が得られず、葬儀代や相続税等の支払いの必要がある等の場合には「遺産分割前の預貯金払戻し制度」を利用しましょう。

すぐに相続人全員の署名押印が得られず、葬儀代や相続税等の支払いの必要がある場合には「遺産分割前の預貯金払戻し制度」を利用しましょう。

この制度の詳細は、半田知多コラム「【相続】相続法が大きく変わりました(自筆証書遺言の方式、預貯金払戻し制度等)」をご参照ください。

条件はありますが、最大150万円まで払い戻しを受けることができ、後に遺産分割協議で精算することとなります。

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